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親が老人ホームで亡くなったら【予備知識】

厚生労働省の統計調査によると近年老人ホームで息を引き取る人が増えています。老人ホームでの死亡はあくまで全体の7.5パーセントと少ないのですが、その推移を見ていると病院死が2005年をピークにして、毎日減少しているのに対し、老人ホームでの死亡は、2002年から毎年増加しています。これから本格的な高齢化社会が訪れる日本では、さらに老人ホームで亡くなる高齢者が増えるでしょう。ここでは、老人ホームで亡くなった場合や葬儀について解説してみました。

親が老人ホームで亡くなった場合に必要な手続き

老人ホームで親が亡くなった場合に必要な手続きにはさまざまな書類が必要となります。そこで、亡くなってから火葬にするまでの必要な書類を紹介します。

死亡診断

老人ホームでも自宅でも変わりませんが、親が息を引き取ると死亡診断が行われます。これは亡くなった場所が老人ホームであっても変わりません。老人ホームでの死亡診断は嘱託医師や、提携の医療機関の医師が行います。法律の原則として医師でなければ、死亡診断はできません。医師がいない場合は到着するまで遺体を長時間保管しなければならないこともあります。

死亡診断書の入手

老人ホームで医師の死亡診断が終了したら、診断結果は「死亡診断書」に記載されて医師から手渡されます。死亡診断書は役所に提出しなければならない死亡届も兼ねている書類ですからなくさないようにしましょう。もし医師がかけつけられない、事故と思われる亡くなり方の時は、警察が介入することがあります。

警察の介入について

医師が死亡診断を記載するケースは、患者が医師の診察管理下にあり、かつ最終診察から24時間以内に死亡した場合に限ります。最終診断から24時間以上経過して亡くなったりした場合は、法医学の専門家である監察医や警察医によって詳しく遺体をしらべて死因を探ります。また、死亡時の状況によっては解剖検査がおこなわれます。

老人ホームでの葬儀は可能?

老人ホームで息を引き取る高齢者の数は現在年間4万人にも達するそうです。また、亡くなった場合経済的理由や個人の遺志などから家族葬という葬儀の形式を選択する人が少なくありません。親が老人ホームで亡くなった場合、その場所で家族葬をすることはできるのでしょうか?

老人ホームでとり行う家族葬について

結論から言うと老人ホームでも家族葬はできます。老人ホームで人生の終わりを迎える人は増える傾向にあるため、住み慣れた老人ホームで葬儀をのぞむ入居者も少なくありません。では、老人ホームで行う家族葬はどのようなものになるのでしょうか。

老人ホームでの家族葬とは?

老人ホームで行う家族葬は基本的には、葬儀場で行う家族葬と変わりはありません。ですが、家族葬を希望する場合に、老人ホームで葬儀が可能かどうかをあらかじめチェックする必要があります。また、老人ホームの中には、葬儀が可能かを紹介してくれる所もあります。

老人ホームで亡くなる方は増えている

高齢者の病死の割合は、病院で亡くなる方が減っています。そのかわり、老人ホームで亡くなる人が増えています。その割合は、2005年にはわずか2.8%でしたが、2016年には、9.2%まで大きく伸びています。老人ホームで亡くなる方が増えたのは、施設の個室化にあるといわれていて、高齢化を迎える日本社会ではますます増える傾向にあります。

家族葬は残された高齢者とその家族にやさしい

家族葬は参列者が限られているお葬式です。また、小規模のため、家族の心身や費用の負担を抑えられます。近年では、「亡くなった後の葬儀にあまり費用かけてほしくない」という希望をされる故人も少なくありません。つまり家族葬は、家族や個人の気持ちに寄り添った葬儀が可能になるのです。

老人ホームでの葬儀の流れ

老人ホームでの葬儀の流れは、一般的に以下の通りになります。基本的に葬儀場で行う家族葬と変わりはありません。

  1. 入居者が亡くなったら家族にすぐに連絡が来る
  2. 葬儀する会社を選ぶ
  3. 遺体を納棺する
  4. 通夜をする
  5. 告別式をする
  6. 火葬にする

老人ホームで家族葬をするメリット

長い間暮らした老人ホームで葬儀をすれば、お世話になったヘルパーさんや、老人ホームに入居している友人も参列できます。そのため、交通費をおさえられます。また、家族葬は価格も一般葬よりも安いため、家族の負担減にもなります。(料理や返礼品の費用を安く済ませられる)

老人ホームでの家族葬の注意点

その一方で、老人ホームで家族葬をする際の注意点もあります。

入居者の方への配慮

故人と同じくらいの年齢の方が老人ホームには多く入所しています。つまり、入所者の中には、死期が迫っている人もいるのです。そのため、老人ホームで家族葬を行った現場を見てショックをうけてしまう人も少なくありません。

老人ホームの中には家族葬ができない施設もある

老人ホームの中には、運営管理上家族葬をしない施設もあります。それは、衛生面や周囲の入居者への配慮です。老人ホームでの家族葬を考えているならば、早い段階で家族葬ができるかどうかチェックしましょう。

老人ホームでの家族葬にかかる費用

では実際に老人ホームで家族葬をする場合費用はいくらくらいかかるのでしょうか?老人ホームでとり行われる家族葬は、葬儀場でとり行われる場合と費用は変わりません。相場としては、参列者20名で80万円くらいです。それより規模を縮小すればその分費用をおさえられます。

親が老人ホームで亡くなった際の葬儀場の探し方

老人ホームに親が入居していて亡くなったら葬儀社に葬儀を依頼する必要があります。では、どのように葬儀社を探せばいいのでしょうか?

臨終したらできるだけ早く葬儀社を探す

老人ホームで家族葬をしたい場合でも、できるだけ早く葬儀社を探しましょう。なぜなら老人ホームで遺体を安置する場所に限りがあるからです。早急に家族葬の準備にとりかかりましょう。葬儀社には亡くなった後2時間をめどに来てもらえるよう手配します。事前にきめておけるのであれば、どこの葬儀社で家族葬を依頼するのかきめておきましょう。

葬儀場を選ぶポイント

葬儀社選びは、老人ホームで家族葬をスムーズにとり行う上で喪主の大事な仕事のひとつです。葬儀社選びは、親が存命のうちにきめておきましょう。「生きている時に?」とおもう人もいるかもしれませんが、亡くなってから探すのは大変な作業です。葬儀社選びのポイントは、費用と担当するスタッフの印象です。また、費用に関して見積もりを取れれば複数の葬儀社に問いあわせましょう。

まとめ

今回の記事では老人ホームで家族葬は行えるかについてみていきました。老人ホームでスムーズに葬儀をするためには、事前に葬儀社をきめて、老人ホーム側で家族葬ができるかどうか事前にチェックしておく必要があります。また、最終的に老人ホームで家族葬をするかしないかは、遺族の判断によります。事前に準備しておけることがあれば早めにしておく必要があるでしょう。