大流行した退職後の海外移住について
数年前より、それまで勤めていた会社を退職したタイミングで日本以外の国に移住するという「海外移住/ロングステイ」という方法が流行しています。
こうした海外移住の最大のメリットは日本で保有している円資産が海外においてはより高い価値に換算することができるということで、東南アジアの各国に移住することで日本にいるときよりも財産価値を高めた生活ができるとして大々的に宣伝されました。
そうした海外移住は移住先となる諸国にとっても外貨獲得の手段して歓迎をされていましたが、一方でその制度を悪用した犯罪組織が増えたり、移住をしても現地の人とうまくとけこむことができずに生活に苦労する人が出てきたりしたことにより、現在では流行がやや下火に傾いてきています。
現在会社などに勤務していて今後定年退職後にどこか別の国に移住することを考えているという人は、今後あえて海外に移り住むということについてメリットとデメリットをしっかり理解しておく必要があります。
「終の棲家」としてのロングステイはありか?
定年退職をきっかけに日本を離れて南国の気候のよい国に移り、そこで気楽なリゾートライフを送るというのは多くの人にとっての「理想的なシニアライフ」ということになるかもしれません。
しかし想像上で思い描いていたことと、実際の海外での生活はかなり異なる部分も多く念願かなって海外に移住はしてみたもののすぐに日本に帰国したというような人も多くいます。
日本国内の福祉や介護の制度については確かに問題がないわけではありませんが、果たしてそれが諸外国と比較して優れたものであるかどうかということはわかりません。
完全に自分(と配偶者)だけで人生を終わらせることができればそれで問題はないのでしょうが、例えば自力で歩くことが困難になってしまった場合などに果たして慣れない異国で医療サービスを受けることができるかどうかはかなり疑問です。
確かに定年後も健康な体を維持することができ、高度な診療を必要としないままに老後の生活を継続するということならば海外へのロングステイも一つの方法でしょうが、生活をしていく上でずっと自分の体が健康であると保証はどこにもありません。
これから海外に移住することを考えているなら、病気になったり介護が必要になったときにどういった対策ができるかということもしっかり考えていくべきと言えます。
それでもロングステイを選びたいなら
日本からロングステイ先を選ぶことができるところというのはそれほど多くはありません。かつては日本人を受け入れていた国の中にも日本人の移住が増えてきたことにより抑制するようになったところもあります。
収入制限など長期的な滞在に条件をつける国もあるので、あらかじめ自分たちが生涯住み続けることができるかということで物件を選ぶ必要があります。
移り住んでみて初めて分かる人種差別といったようなものもあるので最初から移住先を理想化するのではなく、本当に長期滞在するにふさわしいかということを見極める必要があります。